【Wingsこそだてゼミ】第1回:私の子育て、本当に正解?

子どもと過ごす一日一日は、毎日がとても忙しく過ぎていきます。
でも一方で、一度しかない子ども時代だからこそ、時間を無駄にしないようにという焦りもあるかもしれません。

うちの子に幸せになってほしい。

でも、どんな子育てがうちの子にはいいんだろう。

そして、今やるべきことってなんだろう。

お母さんお父さんは、子どもにとっても家族にとっても幸せな生活と将来のために、子育ての様々な情報を求めているんじゃないでしょうか。

一方で、子育てについてはとてもたくさんの情報が溢れていますよね。いい子を育てる方法や賢い子どもを育てる勉強法など、いろんな体験談もよく見かけます。

だからこそ、情報がありすぎて困ってしまう!
そんな経験がどなたにも一度はあるのではないでしょうか。何が本当に効果があって、何がお子様のためになるのか、とても判断が難しい社会です。

そんな中、最近教育業界で注目され始めている「エビデンスベースト」って聞いたことがありますか?

実は子育ての「正解」のヒントがこの「エビデンスベースト」にあるんです。

そもそもここでは正しい子育てを、以下の2つから定義しています。
再現性:多くの子供に当てはまるものだということ
定量的効果:一定以上の効果が、きちんと数字に表される形で確認されていること

科学的に正しいと言われている教育を実践している教室を見ていくために、これからこのブログを書いていきます。毎日あふれるほどの子育て情報に迷ったときには、ぜひこのブログを覗いてみてください!


このブログはこんな人に読んでほしい

  • これから子育てが始まる方
  • 現在2〜5歳のお子さんをお持ちの方
  • 子どもを幸せにするヒントが欲しい方
  • 子育て方法について模索中の方
  • 子育てについて正しい情報が欲しい方

初回である今回は私の自己紹介と、最初にお話したエビデンスベーストの教育とは何なのかについて簡単にお話したいと思います。

目次


自己紹介

改めまして、第1回ということで自己紹介をさせてください。

私はWings Global HomeでインターンをしているMayuといいます。

上智大学を今年の春に卒業したばかりで、これからは幼児教育を勉強するためにニュージーランドの大学院に進学予定です。現在はギャップイヤーをここWingsで過ごしています。

私は、教育に興味がある一方で、今まで幼児教育のリアルな現場で長期間働いたことがありませんでした。そこで今回知識と実践を深めるために、この環境に飛び込みました。
Wings Global Homeはバイリンガル教育が特徴の英会話学童/プリスクールで、私は運営のサポートをしながら勉強しています。

なんでこのブログを書くの?

最初にお話ししたように、幼児教育や子育てについては体験談や個人の意見が溢れています。でも、個人の感想だけではなく、子どもたちの成長や意味のある学習についての「正しい情報」ってどれほど見つけられるでしょうか。

例えば、「英語って早いうちから習わせたほうがいいの?」という疑問に対して、

「うちの子は2歳からこの教材をさせました」

「早期英語教育にはメリットとデメリットがあるよ」

「3歳から始めるにはこんな方法がおすすめ」

など、たくさんの情報がバラバラに出てくると思います。

でも、「どうして」「どうやって」「どうなる」という疑問にまとめて答えてくれる記事にはなかなか出会えません

研究で正しいとされていることが、実際の教育現場でどうやって使われ、どのような結果を生み出すのか、それを自分の目で確かめて記事にしたいと思いました。

これからこのブログでは「Wingsこそだてゼミ」として、「エビデンスに基づいて正しいとされる教育が、実際に教育現場でどういう効果を発揮するのか」を検証するブログです。

つまり、子育てのよくある疑問に対して、科学の視点から効果的な「答え」をみつけ、それが実際の子どもたちにどんな影響を与えているのかを教室の中で見ていきます。
子どもたちがどんな様子で日々成長していくのか、実際の現場に近い環境だからこそ見られることを発信していきます。

科学的に正しいとされる教育は本当に正解なのか、このゼミで一緒に見ていきましょう!

子育ての「正解のヒント」:エビデンスベーストとは

エビデンスベーストってなに?

そもそも 「エビデンスベースト」とは一体何でしょうか。

放送大学の教授で、文部科学省の国立教育政策研究所の研究員としても務めた岩崎氏の論文によると、「エビデンスベースト」は次のように定義されています。

「エビデンス」(evidence)とは,実証,根拠を意味する言葉であり,「エビデンスに基づく教育」(Evidence-based Education)とは,教育研究によって政策や実践をデータで実証的に裏づけることを意味する。

岩崎(2017)

一度読んだだけではなかなか意味がわかりにくいですね。
どういうことなのかこれから簡単にご説明していきます。

エビデンスベーストのはじまり

「エビデンスベースト」とはもともとは医療の世界で生まれた考え方です。
それまでは、偉いお医者さんの言うことにただ従ったり、長い間やってきたからというだけの理由で根拠もなく続けられている治療がありました。

そんな中で、研究によって効果が確認された治療を、実際の現場では患者さんに使おうという動きが始まりました。

つまり、科学的に正しいと言われたことを、実際の環境で使ってきちんと結果を出していくことを目指してるんです。また、実際にやっていることの効果を、ちゃんとデータを使って確かめることも大切です。

教育にもエビデンスベーストは必要なの?

「それでも子どもの成長ってそれぞれで、経験に基づくもののほうが信頼できるんじゃないの?」

そんな疑問がずっと日本の教育業界にはありました。
これを読んでくださっている方も、そう思われているかもしれません。

今でも日本では、「息子二人を東大に合格させた子育て術!」の様な、先生や親の経験に基づいた教育が「いい教育」と思われがちです。またデータをとるために行う社会的実験では、子どもたちが平等な教育を受けられないため、実験自体が嫌がられてできないという問題もあります。

一方アメリカでは、2002年に科学的に検証した教育法を実践していくことを約束した、「落ちこぼれ防止法」(No Child Left Behind Act)や「教育科学改革法」を施行し、効果があると確かめられた方法に国がお金を出していく動きがあります。国のお金も限られている中で、本当に効果のあるものにお金を使うために、エビデンスベーストの教育が必要とされているのです。

そんな中、実は日本でもデータを活用する取り組みはだんだんと進んでいます。2017年から、文部科学省は全国の19校を対象に「エビデンスに基づいた学校教育の改善に向けた実証事業」を行っています。

まとめ

  • エビデンスベーストとは、研究で正しいとされたことを実際の現場で行うこと
  • また、実際に行っていることの効果を、データによって確かめること
  • エビデンスベーストは、教育の効果を最大にするために必要。
  • 「Wingsこそだてゼミ」は、「正しい」と言われている教育が、実際にどんな効果があるのかを子どもたちの様子を通して検証していくブログ。

一生を左右する幼児の時期を大切に

教育方法はたくさんあっても、子どもたちの時間は限られています。
今後お話しますが、幼児期の教育によって50年後の年収や犯罪率、健康状態にまで影響するという研究結果もあるんです。

毎日の一瞬一瞬が成長につながる子どもたちの貴重な時間を無駄にしないためにも、本当に効果のある子育ての方法を一緒に探してみませんか。

私も子供の教育については勉強中なので、これから子育てに関わる様々な研究や教室での活動を見て検証し、この「Wingsこそだてゼミ」を盛り上げていきます!
それでは第2回でまたお会いしましょう!

参考文献

・岩崎 久美子. エビデンスに基づく教育:研究の政策活用を考える. 国立教育政策研究所編 vol.60,1, 2017,  p. 20-27.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/60/1/60_20/_html/-char/ja

・惣脇 宏. 英国におけるエビデンスに基づく教育政策の展開. 国立教育政策研究所紀要 vol.139, 2010, p.153-168.
https://www.nier.go.jp/kankou_kiyou/kiyou139-016.pdf

・「エビデンスに基づいた学校教育の改善に向けた実証事業」事業推進委員会. 教育の質の向上に向けたデータ連携・活用ガイドブック.教育総合研究所, 2020.
https://www.mext.go.jp/content/20200626-mxt_jogai02-100003155_004.pdf