【Wingsこそだてゼミ】第14回:児童教育での少人数制の効果って?

みなさんこんにちは!Wingsインターン生のMinoriです。新しくこそだてゼミの担当に加わらせていただくことになりました、よろしくお願いします!

ところで、皆さんが教育を受けた時は、クラスメートは何人くらいいましたか?例えば、小学校なら30人くらい、という方が多いのではないでしょうか。幼稚園や保育園だと、20人くらいだという方もいらっしゃるでしょう。では子どもの人数が変わると、教育の効果も変わるのでしょうか?少人数だとなんとなく良い効果がありそうですが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?そこで、今回のこそだてゼミでは、

  • 児童に対する少人数制教育の効果
  • 先生と少人数制教育
  • 実際に少人数制教育で育つ児童の様子

について、一緒に見ていきましょう!

このブログはこんな人に読んでほしい

  • これから子育てが始まる方
  • 現在2~5歳のお子さんをお持ちの方
  • 子どもを幸せにするヒントが欲しい方
  • 少人数制教育について知りたい方
  • 子育て方法について模索中の方

目次

少人数だと、子供にどんな良いことがある?

先生の数に対して、子どもの数が少ないと、どんな良いことがあるのでしょうか?

学級規模が児童生徒に与える影響をまとめた論文では、以下のように書かれています。

学級規模が小さい方が学力、学習行動のいずれにおいても良好である

山森光陽. (2013). 「学級規模,学習集団規模,児童生徒ー教師比に関する教育心理学的研究の展望」『教育心理学研究』61(2), 206-219.

つまり少人数であれば、先生による個別指導が増加することなどから、子どもの学力が高い傾向があるし、子どもの行動も落ち着いていて問題になるようなものは少ない、ということです!具体的には、子ども同士が互いに励まし合うことが多く、誰かを仲間はずれにしたり学習と関係のない行動をとったりすることが少ないようです。

反対に、子どもの人数が多くなると、どうなるのでしょうか?小学校・中学校でのクラスの人数の効果を検討した論文によると、人数が多くなると以下のようなことが起きるようです。(伊藤ほか, 2017)

  • 比較的低い学力
  • 教師からのサポートの減少
  • 友人間の相互の援助行動の減少

このように、子どもの人数が多いと、学力・教師からのサポート・友達同士の思いやりなどの面で、良くない影響があることがわかります。

また、クラスサイズと学力の関係については、グラス・スミス曲線というものが知られています。この曲線では、子どもの人数が少ないほど学力が高くなり、特に20人より少ないと、かなり良い影響があることがわかりますね。「20人より少ないこと」が、効果的な少人数教育のための大切な条件だと言えそうです。

出典:Glass & Smith (1979)
縦軸は学業達成、横軸は1クラスあたりの人数を表しています。

先生の教え方は、少人数だと何か変わる?

少人数教育は、学力などの面で子どもに良い影響を与えることがわかりました。

では先生たちは、少人数教育だと何か変わるのでしょうか?

アメリカで1年目の先生たちを対象とした調査によると、76%の先生が、クラスサイズの減少は教育の質を上げることに「とても効果的」だと思っているようです(Rochkind et al., 2008)。

また、大人数のクラスと少人数のクラスでの同じ先生の教え方の違いに関する研究によると、少人数のクラスでは以下のような特徴があるようです(Harfitt, 2013)。

  • グループワークやペアワークが増える
  • 子ども個人に対応した教え方
  • 先生からのフィードバックがより頻繁かつ効果的
  • 先生により遊び心があり、子どもを楽しませる など

つまり、少人数にすることで、先生たちも効果的な教育ができると思っていて、実際に教え方にも違いが出てくることがわかります。少人数制教育は、先生にとってもメリットがあるようですね!

Wingsでの少人数制教育の取り組み、子供が育つ様子

ここまで、少人数制教育は子どもにも先生にも良い効果があることを見てきました。

次は、実際にWingsで行っている少人数制教育の取り組みについてご紹介します!

Wings Kids Familyでは、子ども5人につき先生が1人以上つく環境で、まさに少人数制の教育を実施しています。そのため、先生が1人1人の子どもと向き合うことができ、子どもたちも楽しみながら学んでいます。年上の子が年下の子を助けようとしたりと、子ども同士でもお互いに学び合っています。グラス・スミス曲線によると子どもの数が20人より少なければ学力にかなり良い影響があることをご紹介しましたが、Wings Global Homeでは実際に子ども1人1人が着実に英語力を伸ばしています!先生からのきめ細かいサポートもあって、最初は全く英語が話せなかった子でも、英語で行われるクラスに積極的に参加したり、自分から英語で話しかけてきてくれたりするようになります。

また、Wings Global Homeでは、少人数制教育は学力・英語力のほかに非認知能力を伸ばすことにもつながると考えており、その向上に向けたさまざまな工夫をしています。子どもたちは、少人数のクラスの中で先生やクラスメートと関わりながら、集中力や主体性、好奇心などを伸ばしています!非認知能力について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください!

まとめ

  • クラスサイズが小さいと、子どもの学力や学習行動に好影響がある
  • 特に学力に関しては、20人より少ないとかなり良い影響がある
  • 先生も、クラスサイズが小さいと効果的な教え方ができる
  • Wings Global Homeでは、少人数制教育を通して英語力や非認知能力を伸ばしている

いかがでしたか?少人数制教育はなんとなく良いものだと言われがちですが、具体的にどんな良いことがあるのか、今回の記事で伝わっていましたら幸いです。

次回のこそだてゼミもお楽しみに!

参考文献

  • Glass, G. V., & Smith, M. L. (1979). Meta-analysis of research on class size and achievement. Educational Evaluation and Policy Analysis, 1(1), 2-16. doi:10.3102/01623737001001002
  • Harfitt, G. J. (2013). Why ‘small’ can be better: An exploration of the relationships between class size and pedagogical practices. Research Papers in Education, 28(3), 330-345. doi:10.1080/02671522.2011.653389
  • Rochkind, J., Ott, A., Immerwahr, J., Doble, J., & Johnson, J. (2008). Lessons learned: New teachers talk about their jobs, challenges and long-range plans: Issue No.3 Teaching in changing times. Public Agenda.
  • 伊藤大幸, 浜田恵, 村山恭朗, 髙柳伸哉, 野村和代, 明翫光宜, & 辻井正次. (2017). 「クラスサイズと学業成績および情緒的・行動的問題の因果関係ー自然実験デザインとマルチレベルモデルによる検証ー」『教育心理学研究』65(4), 451-465.
  • 山森光陽. (2013). 「学級規模,学習集団規模,児童生徒ー教師比に関する教育心理学的研究の展望」『教育心理学研究』61(2), 206-219.